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その一歩が明るい未来へ 白寿堂鍼療所・整骨院

埼玉県越谷市蒲生旭町10-23     ☎ 048−986−7073
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 老人の楽園


投稿:池井戸チャポン

祝100回記念作品
製作 老人の楽園製作委員会
文化庁 芸術祭不参加作品

原作 池井戸チャポン



「ちょっとあなた、早く寝なさい!!何時だと思ってんの?」
「明日の朝早いんでしょ!!」

「あー寝るよ! ったくうるさいんだから」。

いつの間にか私は夢の中に入った。

夢の中の出来事なのだがなんとも不思議な光景に出くわした。


ここはとある町にある整骨院。一般の民家の一角に独特の佇まいを
醸し出している。

まだ早朝の7時前だというのに、その建物の玄関の前で3、4人の
老人が待っている。こんな早くから開けている接骨院があるのかと
感心するやら呆れるやら、夢の中の私はその様子を見ていた。

程なくして、接骨院のドアが開いた。その老人たちは競い合うように
中に入っていった。私も釣られるように中に入っていった。ちなみに
私の姿は見えないことになっている。

接骨院のスタッフが患者をそれぞれのベッドに案内し施術を始める。
一応ベッドの場所は決まっているらしい。
2番ベッドは肉屋の旦那、3番ベッドは小柄なパグのような
顔をした巳いさん、5番ベッドに時間にうるさい晴さんがそれぞれ入っている。

その晴さんには、最近入ったばかりのスタッフが担当していた。
すると隣のベッドにいた巳いさんが、
「ああああああんた、どっから来てんの?」と新入りスタッフに聞いて来た。
「◯◯◯◯◯◯◯」からです。

巳いさんはそれしか聞かない。巳いさんは新入りのスタッフに対して必ず
どこから来ているのかを聞いてくる。最初は名前も呼んでもらえない。
この人の中には順番があって、

あんた→◯◯くんという順番がある。

たとえ、院長であっても「くん」である。
決して先生とは呼ばれない。
80を過ぎて髪の毛は真っ白で、身長も低く可愛らしい感じの老人だが、
声が低音でよく通るので少し迫力がある。

5番ベッドの晴さんは天気の話しかしない。おまけに時間にうるさいと来ている。一日のスケジュールが決まっていて、その時間が数分ずれるだけで機嫌が悪くなる。スケジュールとはいっても毎日病院のはしごである。毎日だ。
接骨院の後は、かかりつけの内科医院に行っているらしいが、接骨院に来る前に
すでにその内科に診察券を出して予約をしているらしい。

「この爺さん一体何時に起きてんだよ・・・・。しかもどこも悪い所がなさそうじゃないか」。

その光景を見ていた私は思わず呟いてしまった。

15分ほどして、肉屋の旦那が施術を終え出て行った。
ここからがこの接骨院の凄い所だった。
患者さんが続々入って来る。
ガタイの大きい元消防署長、クリーニング屋のオヤジ、あそこもここもと要求の
多いばあさん、おべっか使いのばあさん、そしてこの接骨院の名物と言われる爺さんがやって来た。
力のない声で、「おはよ〜」と入って来た。このおはようのそれぞれの言葉に
激しいビブラートがかかっている。

スタッフからはスーさんと言われているが、このスーさん夏でも冬でも服装が
変わらない。毎日金額は同じなのだが来るたびに金額を聞いて来る。
「今日はいくら?」
「金ねーよー」
時には面倒臭いのか財布ごと出してスタッフにお金を取らせる。

「スーさんちょっと待ててねー」

スタッフが言うと、スーさんは待合室に行った。
このスーさん、ソファに座る前にまず水を一杯飲みその後ソファに座る。
それからがこのスーさんの真骨頂。
待合室のテーブルの上に置いてある飴を鷲掴みにしてポケットに突っ込む。
いつも飴を小さな籐籠に山盛りに守るのだが、気がつくとほとんどない。
患者さんが十人そこそこしか来ていないのに、30個ほど盛ってあった飴が
1、2個しか残っていない。

いよいよスーさんが呼ばれベッドの方に歩いて来る。その時のスーさんの
ズボンを見ると、ポケットの所が異様に膨らんでいる。
あからさまに「やってんな」ということはわかるが、接骨院のスタッフは優しいので見て見ぬふりをする。

その後も色々な人たちが入れ替わり立ち代り出入りするが、時間帯によっては
待合室の椅子に座りきれないくらいの患者が待つこともある。ここの接骨院は多い時には一日八十人ほどの患者さんが来院する。やがて午前10時ぐらいになるとやって来るのが「カラオケの女王」だ。

70を過ぎてはいるが、髪の毛はきっちりセットされ服装も品が良い。この女王、あちこちのカラオケ大会で賞を取るなかなかの強者だ。しかもどの師匠にも
師事せず、独学で腕を磨いて行ったそうだ。
女王は、近隣の老人たちの憧れでありリーダー的な存在なので自然と人が集まって来るが、本人はいささか面倒臭そうだ。
隣に座って女王と喋っていたのは元豆腐屋のおばちゃんで、

「いやーこの間の歌良かったにーっ」
「にー、ほんと良かったよー」と褒めまくる。

この人は「ねー」が「にー」になる。このおばちゃん、膝がボロボロだ。
「先生よー、毎日毎日膝が痛くてヤンなっちゃうよ!」
「にー」
この人は自分が来たい時間に来るので、時には1時間近く待つこともある。
この接骨院は予約優先制のようだ。

「私は毎日日曜日だから平気だよ!」
と、毎回テープレコーダーのように同じことを言う。

大勢いた患者さんも少なくなり、午前中の診療が終わりを迎え後残り5分ほどに
なった時に、猛スピードで街中を駆け抜け出入り口の前に自転車を止める服装の
派手な老人が入って来た。

「こんにちわー」

スタッフが、
「Y子さん、もう時間終わってるよー」と言うと、
Y子が時計を見上げる。

「あー!こんな時間だ!」
と、わざとらしく言い放つ。

担当の先生のテンションはガタ落ちだ。他の先生に謝りつつ施術を始める。
施術中もこのY子はずっと喋りっぱなしだ。

このY子は80歳そこそこの年齢ながらファッションが派手で、昔のロッドスチュワートみたいな格好で電動自転車に乗って颯爽とやって来る。
本当にチャリンコ暴走族である。

「〇〇がさー、私に色々行って来るんだよー!」
「〇〇ちゃんは優しいんだよー」
「いつもお小遣いをくれるんだよ」

毎回同じことを喋る。毎回だ。それに合わせる担当の先生も大変だが、そのうち
自在にコミュニケーションを取るまでになって来た。

そのY子も施術が終わり午前の診療が終わったあたりで、見ていた光景が徐々に
まどろんで来た。

「ピピピピピピー!」

目覚まし時計のアラームが鳴り、私は目を覚ました。
カーテン越しから眩しい光が差し込んで来る。

「なんだかすごくリアルな夢だったなー・・・・」。

目が覚めてしばらくしてからもその光景は目に焼き付いている。こんな接骨院が
実際にあったら楽しいだろうなと、昨夜見た夢を回想しながら出勤の途に着いた。

その後もこの夢の続きを毎日見たいと期待して寝るのだが、なかなか見ることができない。

「巳いさんや晴さんはどうしているだろう・・・」。
「女王や豆腐屋のおばちゃん、Y子さんは相変わらず喋っているかなあ」。

そんなことを毎日考えながら、日々忙しく私は過ごしている。
またいつの日か楽しい夢が見られれば良いなと思わずにはいられない。







あとがき

治療というものは、人と人の心が通わないと良い効果が出ないものだと思う。
医療は誰のためのものなのか、国が利益を上げるためにあるのか、製薬会社が利益を上げるためにあるのか、現場で日々治療に当たっている医師、医療従事者、事務方などのマンパワーが集結して現在のこの国の医療がある。昨今、医療費が高騰し財政が逼迫しているが、接骨院も例外ではなく削減の対象になっている。この先運営が成り立たなくなる治療院が増えて来ると考えられるが、治療院こそ、人とのコミュニケーションを図り、手技により改善して行くというそれこそ「人」対「人」が重要なウェイトを占めている。薬も注射もない、治療する人間の腕だけがものをいう世界で、施術を受けた患者さんの感想、実感でしか外部にアピールすることしかできず、科学的な根拠がないものに関しては排除されてしまうのかと思うと今後のこの国の医療というものには大変な不安を覚えてしまう。

実際に、はり、灸、カイロプラクティック、整体、マッサージなどで、病院では
改善しなかった症状が改善したという事実もある。財政が厳しいからといって、
利益にならないものを根こそぎ排除していいものかと思わずにはいられない。
これから高齢者が増え医療費も高くなると、経済格差によってしっかりした医療を受けられる人と、そうでない人との格差が生じる。そこで、国が推奨しているのが、いわゆる「セルフメディケーション」と言われるものだが、そこには、代替医療を積極的に受けましょうということにはなっていない。国が推奨しているのは、「市販の医薬品を積極的に購入しましょう」「病院に行くほどではない症状ならば、市販の薬で改善していきましょう」というものである。いわゆる手技療法に関しては、全く推奨されるどころか縮小されてしまっている。単純に「物を売れば利益になる」、という、いわゆる市場原理に沿った物?ということになってしまっている。これらの代替医療と言われるものは、お金の利益にはならないが、人にとって有益であることは、何十年にも渡って実証されて来ていることである。むしろ、薬害もない代替医療の方が安全ではないかとさえ思えて来る。

この代替医療に関する法律というものは戦前、戦後間も無くに制定されたものがほとんどであり、全く今の時代に合っていないのが現状である。
代替医療を衰退させることは、国家にとっても大きな損失であると考える。
海外では、代替医療が幅広く存在しており自身で選択するのが当たり前で、それぞれ自分に合った治療法で健康管理をしている。もちろん、海外には健康保険がない国が多いのだが、どのような治療法を選択するかは本人が選択している。今後、我が国も人口は減っていき、高齢者が増え、国の財政そのものが危機的状態になって行く可能性が高くなると思われるが、そんな状況だからこそ代替医療を積極的に活用することは重要だと思う。

「これから、人の健康は自分たちが守って行く!!」
一人一人の医療従事者が強い気持ちを持って、この国の医療を変えていく流れを
作っていけるように、代替医療はこんなにも人に対して有益であるということを
実証し、社会貢献していける存在にならなければいけないとつくづく思っている。

「人のために」、「社会のために」、「自分たちのために」
























2017年10月22日(日)
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